わたしの家族

3/5
前へ
/54ページ
次へ
けれど姉のことについては、わたしとの血のつながりをより強く感じてしまうので、両親には何も言えない。 アトリエにつながる引き戸を、わたしはドンドンと叩いた。 「おねぇ、朝だよ? 朝食できたよ」 「えっ! もう朝?」 中からはハイテンションな姉の声が返ってきた。 …どうやら徹夜で仕事をしていたらしい。 やっぱりわたしの姉だな。 変なところで感心しながら、ケータイをポケットから取り出し、時間を確認する。 「うん。六時半」 「ヤダぁ!」 引き戸の向こうから、 〈ガッシャン ゴロゴロッ!〉 という不吉な音が聞こえてきたので、両耳を手で塞いでやり過ごした。 「キャーッ! 売り物がぁ!」 「片付けたら来てね」 無情にも姉を見捨て、わたしは本宅に戻った。 そして今度はリビングを通って廊下に出て、地下一階へ下りる。 そう、ウチには地下がある。 ここには季節外れの物や、使わない物を入れたりする部屋の他、書斎や兄の部屋もある。 兄の部屋の扉を叩く。 「おにぃ、朝だよ。朝食できたよ」 「ああ…もうそんな時間か」 か細くも、はっきりとした声が返ってきた。 扉はすぐに開き、ぼんやり顔の兄が出てきた。 「…シャワーを浴びたら、行く」 「分かった」 兄と共に廊下を歩く。 ちなみに三年前に改築して、地下にもおフロ&トイレが作られた。 これは兄の為に、だ。
/54ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加