本編

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「こんな私に、してくれたさっちゃんの力に、なりたいよ……だから、言って。本当のきもいをすべて、教えて」  優美は泣いていた。綺麗な顔をめちゃくちゃにして、ぽろぽろと大粒の涙を流していた。 「さっちゃんの事をもっと、知りたいのに、知れないのはつらいよ。でも、伝えられないさっちゃんもつらいのがわかるから、我慢してたの」 「……ゆ……うみ」 「大好きだもん! さっちゃんが大好きだもん! だから笑ってほしくて、だから何かしたくなるんだよ。でもそれがさっちゃんを傷つけることはわかってるんだ。でも、ほっとけないんだ……ごめん……ごめん……さっちゃん、ごめん」 (そうだよね。優美だって、何も考えてないわけなかったよね……)  あたしは、手元にあったメモ帳に文字を書きなぐった。 「手紙を、書いてくれるの? 私に? さっちゃんが?」 「……ん!」  始まりの言葉はもう決めている、ごめんじゃなくありがとうから始めるのだ。  支えてくれた、支えたあたしたち。  ふたりで好意をお返ししあいながら、片方だけに寄りかからずに生きていくために。  誰かにずるずる甘えて、寄りかかりすぎるのは、よくない。  あたしはうまく歩けないけれど、頑張って歩いていこう。不器用でも、一生懸命に。  暗闇から抜け出せるのは自分自身の足でだけだ。 「すき」  あたしは気が付けば、優美にそう言って、彼女を抱きしめていた。  同じ二文字でも、彼女にふさわしい言葉はこれだと思った。
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