3人が本棚に入れています
本棚に追加
*
子供のころの夢を見た。
あたしは五体満足で、優美はまだべそっかきだったころ。
「さっちゃん、助けてぇ」
「優美、また転んだの? 男子に追いかけられたの?」
「うん、皆がいじめるの」
「もうっ、あたしが守ってあげるんだから。こらー男子っ」
「……げっ、幸子だ」
「ぎゃーっ、逃げろ」
逃げていく男子を見て、あたしは鼻を鳴らしてふんぞり返ったのを覚えてる。
「ありがとう、さっちゃん」
「優美、大丈夫だった?」
「うん、さっちゃん。私、強くなるよ。そしていつかさっちゃんに……」
そこで、目が覚めた。
優美はあたしに何を伝えようとしていたのか、起きた今では思い出しもできない。
メモ書きがあったので、優美がここにあたしを運んだという、後ろめたい事実だけはわかった。
最初のコメントを投稿しよう!