本編

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*  子供のころの夢を見た。  あたしは五体満足で、優美はまだべそっかきだったころ。 「さっちゃん、助けてぇ」 「優美、また転んだの? 男子に追いかけられたの?」 「うん、皆がいじめるの」 「もうっ、あたしが守ってあげるんだから。こらー男子っ」 「……げっ、幸子だ」 「ぎゃーっ、逃げろ」  逃げていく男子を見て、あたしは鼻を鳴らしてふんぞり返ったのを覚えてる。 「ありがとう、さっちゃん」 「優美、大丈夫だった?」 「うん、さっちゃん。私、強くなるよ。そしていつかさっちゃんに……」  そこで、目が覚めた。  優美はあたしに何を伝えようとしていたのか、起きた今では思い出しもできない。  メモ書きがあったので、優美がここにあたしを運んだという、後ろめたい事実だけはわかった。
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