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「あ。ああ……あっ」
一人、部屋の中で声を上げる練習をする。大きな声を出そうとすると吐き気がして、クラクラしてくる。でも、そんなことでめげてはいけない。あたしは五日、独りになる。誰もがいつまでもあたしにかまけてはいられない。優美だって自分の人生がある。
「……ああ! ……ゴホッゴホゴホッ」
むせて、しゃがみこむみじめなあたし。
おばさんの家の、一部屋があたしの部屋だけれど、思い出はすべて置いてきた。
……未練がましく、望んだって、もう手に入らないものだから。それに、思い出から目をそらすぐらい、許されるだろう?
ずっと直視なんかしたくない。
「……ぐう」
「さっちゃん?」
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