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「あぁ、そういう話したことないか。七月二十日だよ。小山内は、クリスマスだろう?」
「んん、そう。誕生日が来たら、私たちも三十五だね」
「だなぁ。改めて誰かと話すと、老けたなって思うよな」
「本当。一人で迎える分には、事実を受け止めて終わりなのに。共感する相手がいると、どっぷり浸っちゃうって言うか。実感し過ぎると言うか。ね」
花村がこれまでどんな誕生日を過ごしてきたのか、なんて知らない。
けれど少なくとも旭は、楽しく過ごした誕生日など、何年遡れば現れるのか分からなかった。
その日に会った男に祝われたこともあったけれど、あれは寂しさが紛れた、に過ぎない。
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