1414人が本棚に入れています
本棚に追加
/1630ページ
「でもいつかは、嘘じゃなかったって、きちんと理解されるといいね」
「そうだなぁ。その時は、結婚するときじゃねぇか」
「結婚、か」
あの二人が結婚するようなことになったら、泣いてしまうかもしれないな、と旭は思った。
感慨深いと言うか、何と言うか。
「なんだよ。そんな顔して。前のこと思い出した?」
「あぁ、ううん。元夫がどうのってことじゃなくてさ。大貴が大事にされてると思うと、瞳子が辛い目に遭わないか心配になっちゃって」
「あぁ。なるほど。でも加瀬ってさ、意外と人の懐に入るの上手いし、何とかなるんじゃねぇの。逆に母親味方につけて、川上の方が大変そうだけど」
「あ、確かに。まぁ大貴のところは男兄弟だから、多分大丈夫だろうけど。大貴だけを溺愛してなければ、さ」
嫁と姑というのは、なかなか難しい関係なのだ。
別れた夫の家族と仲の良い関係性を保てた旭は経験のないことなのだが、友人たちの愚痴を聞いては身震いすることすらある。
きっとどちらも――妻は夫として、母は息子として愛しているからこそ、起きてしまう諍いなのだろうと思っている。
最初のコメントを投稿しよう!