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「まさか、その時から続いてたのかとかって言われた?」
「ううん。そう言うんじゃなくって。それは流石に私も強めに言っておいたし、その件は特に何も言われてないよ」
少し俯いたままの旭を見ながら、「それならいいけど」と呟く。
ホッとしたのに、それでも彼女が今、何を考えているのか気になった。
「あの時、凄い喧嘩になって大変だったの。たかだか同期が街で会って話し掛けて来ただけなのに、酷い剣幕でさぁ。あいつと出来てんのか、とか言い出すし。ムカつく同期だって言っても信じなかったんだよね」
「ムカつく同期、な」
「そりゃそうよ」
久しぶりに言われると、また胸が沈む。
旭にとって自分はその程度だったことを痛感する。
最近は陰に隠れていた自信のなさが、ひょんなことから顔を出して笑った。
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