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馬鹿みたいに怯えてすれ違っていた二人の気持ちが、一つになったのは数時間前。
いつでも心配してくれていた可愛い後輩たちと合流し、食事をしていたのに。
時間の経過とともに、花村の感情の中に少しずつ少しずつ、久しく忘れていたような男の性が顔を出し始めていた。
だから、後輩たちと別れ、帰る流れになった時に彼女の耳元で囁いたのだ。
小さな声で、「急いで帰らなくても、いいよね」と。
そこは彼女も花村も、三十を疾うに過ぎた、そこそこのいい大人である。
夜が深くなればなるだけ、その先に見えるものなど分かり切っていた。
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