あの日、君と見た桜を

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「あ、ごめん。起こしちゃった?」 「んん……、今何時くらい?もう朝?」 「多分、まだ夜中だと思う。コンタクト外そうと思って」 彼女――小山内(おさない)(あきら)は、モゾモゾと身を隠しながら起き上がり、コンタクトを外していた。 カーテンの隙間からは、まだ夜がこちらを覗いている。 「大丈夫?」 「うん。ごめんね、起こしちゃって」 「ううん。……おいで」 小山内の少し癖の付いた髪に手を伸ばし、そのまま彼女を抱き寄せた。 柔らかな白肌の上に手を滑らせて、彼女に触れていることを確認する。 出掛ける時には、こんなことになるなんて想像したろうか。 そしてこんなにも性急に、自分が彼女を欲するだなんて、花村は思いもしなかった。
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