4 反芻

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『小山内、今日は悪かったな。彼女があんなにも素直に自分のことを話すなんて、思いもしなかったよ。だから話してるのを見て、安心したんだ。ありがとう』 長谷川は今日も「ありがとう」と言う。 彼の優しいその言葉に、仕事では何度助けられたか分からない。 あぁ、そうだ。 真弓がいつだったか言っていたな。 ごめんなさいじゃなくて、ありがとうという癖を付けなさい、と。 もしかしたらその言葉は、長谷川から彼女へ送られたものなのかも知れない。 『今日はご馳走になって、すみません。真弓さんの話、本当に何も知らなくて、驚きました。私の方こそ、いつも甘えてばかりで申し訳ないです』 何と伝えればいいのか分からなくて、結局は謝ってしまう。 自分だけが苦しい顔をしてしまったことに、今更謝ったって仕方ない。
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