1415人が本棚に入れています
本棚に追加
/1630ページ
「小山内、どうした?大丈夫?」
「うん。何かさ。その、寂しくなっちゃって」
「え?」
「今から、そっちに行ってもいい?」
こう素直に話をしたのは、初めてかも知れない。
以前よりは、そこそこ正直な気持ちを吐露するようにはしていたが、こんなことは言わない。
真弓に押され続けた背中が、自分には素直でなければいけないような、そんな気がしている。
「あぁ、いや。その」
「あ、ごめん。今日は帰るって言ったの、私だもんね。いいの。気にしないで」
花村が言葉を濁したことで、状況を察する。
彼の背後で、車の通る音がした。
そして、クラクションの音……
最初のコメントを投稿しよう!