69 幸福

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「ごめん。彼女に会ったことは、確かに隠さなければ良かった」 「まぁ、ね。でもまさか、お母さんがあなたにその彼女を勧めるなんてね……」 「あぁ、うん。そうなんだ。俺の話なんて全く聞かなくて。困っちゃって」 旭は珈琲に口を付けて、優に居直った。 そして勢いよく、ごめんなさい、と頭を下げたのだ。 「な、何で旭が謝るの?何した?何があった?」 「あぁ、うん。先週ね、お姉さんと会って。その状況を伺って。嫌われてしまった私には、お母さんの目の前で笑える彼女に勝てるものが見つからなかった」 「旭、そんな言い方するなよ」 「あぁ、いいの。それは分かってるから。分かってるんだけど、ね。打開策が見つからなくて……」 そして、旭の言う話を優は黙って聞いた。 姉の発案に、「何を考えてんだ」と漏らしたけれど、旭は苦笑を浮かべる。 私には胸を張れるものが料理くらいしかないから、と。
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