4 反芻

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4 反芻

「今日、うち来る?」 「あぁ……ううん。今日は帰るよ。明日連絡するから」 「分かった。おやすみ」 ポンポン、と花村が旭の頭を撫ぜる。 結局は毎週末、どちらかの家に泊まっていたのだが、今日は一人でいたかった。 理由を聞かない彼も、旭の気持ちが分かったのだろう。 発車のベルが鳴ると、二人は小さく手を振る。 電車が巻き起こした風が、夏の匂いを運んで来ていた。
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