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5 憂惧
長谷川夫妻と食事をした夜。
彼女の最寄り駅で別れ、花村は一人電車に揺られる。
金曜の酔っぱらいはどの季節も同じで、必死に吊革につかまりながら、ウトウトと器用に眠っていた。
二分弱で着くの自分の最寄り駅まで、ただ窓の外を眺めている。
真弓の話を聞いて、ただ只管に再婚という壁を考えていた。
結婚なんてまだ考えていなかったけれど、翌月には三十五歳になってしまう自分。
母は今でも、相手がいないならお見合いしなさい、と言って来るし、年齢的にはそういうものなのだろうとは思っている。
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