0人が本棚に入れています
本棚に追加
冬の冷たいそよ風がすっかり忘れていたことを思い出させた。
「教室で体操服干してたの忘れてた」
僕は一緒に帰っていた友達にそう言うと、すぐに学校に戻った。
教室に行く前に職員室によった。多分教室はもうみんな帰ってしまい、鍵がかけられていて職員室に返されているだろうと思ったからだ。中を見ると担任の先生は座ってパソコンをいじっていた。
「先生、体操服の鍵を忘れたから教室の鍵を借してくれよ」
「貸してくださいだろ、こっち来い遠藤!」
近寄っていくと肩を叩いて揉まれた。それが結構強かったので少し痛かった。
「ごめんじゃん、先生。普段だったら置いて帰ったんだけど明日って土曜日だろ。2日も置いといたら先生みたいな匂いになっちまうよ」
「このやろ、反省してないな」そう言うと先生はさらに力を入れてぐりぐりと肩を揉んできた。痛くて思わず「ぎゃっ」という声が出た。
「反省してます、反省してます。許してください」
「ははははは」先生はまだ揉み続けている。
「許してー、放してー!」
「ははははは」
「痛いよー、放してー、痛いよー」
「ははははは」
「放せよ!」僕は我慢できなくて強引に手を払いのけた。
「ごめんごめん、ははは」先生は満足そうに笑った。
「先生、鍵貸してくださいよ」
「うん?ああそうだったな。それがまだ返ってきてないんだ。教室開いてると思うぞ」
「なんだよそれ!」
そう言うと先生の手がまた肩にすっと伸びてきたので、それをさっと避けて逃げるように教室に向かった。
最初のコメントを投稿しよう!