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教室に入ると、クラスメートの菊池だけがぽつんと後ろの席にすわっていた。僕は菊池とはほとんど喋っことがなかったので、二人っきりになったことに気まずいなと思った。
「やあ菊池、一人で何やってんだ?」
菊池は何も答えなかった。でもいつもこんな感じの暗いやつだったので僕は特に何も思わなかった。さっさと窓を開けて干していた体操服を取って帰ろうした。鍵はいつもかけてあるところになかったが、自分が最後じゃないからまあいいかと思った。
「待って菊池くん」初めて聞いたような声だ。思ったより高い。
「なんだよ?」
「僕が何してたか知りたいんだよね」
「べつにどうでもいいけど」
「筋トレをしてたんだ」
「ふーん、そうなんだ」菊池は座っているはずなのに椅子がない事に今気づいた。
菊池は僕の反応に不服なのか、少しむっとしたように見えた。そしてワイシャツを脱いで上半身裸になった。
「どうだい?」菊池は上腕二頭筋にコブをつくってそう言った。
「いいんじゃない」僕がそう言うと今度は腹筋に力を入れて見せてきた。
「どうだい?」
「悪くないんじゃない」内心どうでもいいという思いがあったが、一応反応しておいた。
「これはどうかな?」
「まだやんの?」
僕の声には耳を貸さず、菊池は背筋に筋肉を寄せて見せつけてきた。菊池はその時後ろを向いたので僕はここぞとばかりにドアを開けようとした。だが、なぜか開かなかった。
「おかしいな、開かないぞ」
すると後ろのドアから先生が入ってきた。手には鍵が握られていた。
「なんだよ、先生鍵持ってたのかよ」
先生は入ってくると、後ろのドアの内からかけるかぎも閉めてしまった。
「どういうことだ?先生」だが先生は何も答えず、スーツとワイシャツを脱いで上半身裸になった。
「どうだい」先生は上腕二頭筋にコブをつくって見せてきた。
「さっきと一緒だ」
僕は気味が悪くなり後ろのドアの方に走った。後ろのドアは鍵がかかっていたら外からは開けられないが、ドアに鍵が付いているので、中からなら誰でも開けられる。
だが後ろのドアを触ったあたりで菊池に顔を殴られて後ろに倒れた。
「先生、こいつ殴りやがった」
先生は僕の方に駆け寄ってきて菊池をどけた。そして胸筋を見せつけてきた。
「嘘だろ、俺殴られたんだぜ…」
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