前編『希望の遭遇』

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 猫の希望はふわふわとした白くて柔らかい毛並みとまるっこい形の濃い金色のお目々が自慢だった。特に胸と尻尾がふわふわだ。飼い主がよく「きゃわわ~~もふもふでちゅねぇぇぇ」と言ってスリスリしてくるくらい、とてももふもふなのだ。兄弟の希美は黒い毛並みで同じようにふわふわしているが、希望のようにもっふもっふというよりは、少し長めでエレガントで、とてもかっこよかった。自慢の兄弟である。  そんな自慢の兄弟には、恋人がいる。雪のように白くて美しい毛並みとサファイヤのような深い青色の瞳の元野良の美猫、ユキという。希望と同じように真っ白いユキだが、毛並みはふわふわというよりは艶々としていて、その身体は成猫だからしなやかで美しい。凛々しく美しいユキと希美が並ぶと希望は嬉しかった。飼い主が「作画が神、推せる」とぶつぶつ言いながら写真を撮っていたので見せてもらったら、それはそれはお似合いであった。  少し前に色々あって、ユキが小鳥遊家の飼い猫となってからは三匹でよく遊んでいた。しかし、最近たまに、希望は二匹から離れて一匹で遊ぶようにしている。     
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