後編2『ライの譲歩 二歩目』

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後編2『ライの譲歩 二歩目』

 希望がお家に帰ってきてから、しばらく経った。ライと二人だけで過ごした時間よりも何倍もの時間をかけて、希望はようやく元気になっていった。  カリカリも、おやつも、もりもり食べれるようになったし、また希美とユキと一緒にお部屋を走り回ったり登ったり下りたり、遊んだりできるようになった。やり過ぎて、飼い主に叱られるくらい元気だ。  しかし、希望は時々、窓の外をぼんやりと眺めている。  ライさん、来ないかなぁ、と寂しそうにゆらゆらと尻尾が揺らしていた。前までは希望が寂しくなると来てくれたけど、今はいくら待っても姿を見せることはない。  ライさん今日も来てくれなかったなぁ、と希望はしょんぼりとして、窓から離れる。お外でみゃあみゃあと泣いて、カッコ悪いところを見せてしまったから、もう来てくれないのだろうかと考えて悲しくなった。  ライからもらったプレゼントが詰まった入れ物をころころと転がすと、中のガラスの玉やガラスの欠片がキラキラと流れる。その中で、初めてもらったプレゼントの、金色のコインが一際キラリと輝いている。  しょんぼりとしていた希望は、その輝きと共に、閃いた。     
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