大好きっていってほしいの15

クリスマスが始まる

　今日は朝から夕方までの終日練習の予定だった。

　午前はそれなりに集中してやっていた部員達が午後になって急にそわそわしだした。夕刻が近づくにつれ、それは顕著になり、ノックをすればどいつもこいつもエラーするわ、フリーバッティング始めてみればピッチャーがデッドボール連発するわ……。

「おいおい、勘弁してくれよ……」

　フリーでデッドボールとか聞いたことねーぞ。散々な練習風景を眺めてため息。

　イブ、だしなぁ。こいつら、それなりになんか予定でも入ってんだろうな。練習場のネットの隅に掛けられた時計を見ると、終了予定時刻１時間前。

「よーし、分かった」

　こんな状態で練習続けてケガでもされちゃたまんねぇ。

「今日はもうここで切り上げる！」

　俺の声に、ええ！　と一瞬驚いた部員達の目が一斉にキラキラし出す。

「かんとくっ、いいんですか！？」
「いや、俺達、まだそんな……」
「すみません、俺がエラーばっかして――」

　キラキラした目でそんな思ってもいねぇこと言うんじゃねぇ。