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だが一番腹に据えかねたことは妻の行動だった
上の子が下校する道を車に乗って通ることだ
子どもが
お父さん、お母さんが知らない男の人の車に乗ってたよ
と、言って半べそをかいていた
これには、心底、妻を呪った
なぜ、子どもに、そんなところを見せるんだ
残酷なオンナだ
もはや、母親ではない
オンナになってしまった
しかも、大事な子どもを育てるお金をすべて持って行ってしまうとは
もう、死んで欲しいとさえ思った
学校でも
あの子のお母さん、男と駆け落ちしたんだって
というウワサが流れたこともあった
悔しかった、眠れないほど
だが和哉は離婚の手続きも出来ないでいた
あの、オンナが出てこなかったことと、手続きをするように向こうも言ってこなかったからだ
とにかく和哉は悪戦苦闘の日々だった
それから何とか子ども達を育て、学校にも行かせ人間的に人に後ろ指を指されない男に育て上げた
そして、今日、次男の大学の卒業式を終えた
やっとここまで来たな
和哉はしみじみお茶を飲んでいた
妻は子どもが、小学校までは頻繁に車で通っていたようだがその後の消息は知らない
あんなオンナでも子どもを見守りたい気持ちが少しばかりはあったのだろうか
くだらない
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