妻という名のオンナ

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妻という名のオンナ

和哉は一人、お茶を飲んでいた これまでの事を噛み締めながらしみじみお茶を飲んでいた 和哉は某大手住宅メーカーに勤務していた 思えばこの18年間はなりふり構わず、そして、あきらめてきた事もたくさんあった 今日、二人の息子のうち、次男が大学を卒業した 就職も決まっている 普通なら母親がお祝いのご馳走などを作るんだろう だが和哉には妻はいない 離婚したのでも死別したのでもない 二人の息子がそれぞれ 4歳と6歳の時に会社の相手先の男と駆け落ちしたからである しかも、和哉の父が遺した1900万円全額を持って行ってしまった 和哉のうちは、父子家庭となったのだ 和哉が言う 十分ではないにしろ、世間には母子家庭にはサポートがあるが、父子家庭にはサポートがほとんど無かったので大変だったと しかも、順調に出世街道を歩んでいたのに妻がいなくなったことで子ども達を見ないといけなくなった 残業もできない 長期出張も断らなければならなかった 帰宅時、虚しさのあまり 気がつくと線路の側に立っていたこともあった 急に我に返って首を振り家路を急いだことだってあった 早く帰って夕飯の支度や家事をしなければならない もはや出世は諦めた     
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