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「俺、本当にSubなのかな……」
「さあ、どうだろ? 来週検査だよね、ダイナミクス」
他愛無い話をしながら、いつもの道を二人で歩く。
学校を出て、住宅街を抜け、商店街を通って、公園に差し掛かる。茜色の空に、近隣の学校のチャイムが響いて、下校時刻を知らせていた。
「やだな……注射キライ」
「全く或斗は、いつまでもお子様なんだから。僕は全然平気」
自信満々に胸を張って答える菜摘に、クス、と笑みを零したその時だ。
「ふぅん、ダイナミクスの検査、まだしとらんと?」
後方からその声が聞こえ、身体が戦慄した。
ビクッと肩が震えて、恐る恐る振り返ると……そこにはまっすぐな赤い髪を垂らしながら、ニコっと笑み、腕を組んで立っているアサヒの姿があった。
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