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ぎゅううっと心臓が握りつぶされたような痛みを感じて、胸の前で拳を握った。どきん、どきん、と脈が上がっていくのを感じ、「っは、っは……」と呼吸が荒れていく。
こわい。
こわい。
こわい、たすけて、こわい……!!
或斗は身体に力を入れたまま、じりっと半歩後ろに下がる。
すると、ふるふると震え始めた或斗を見て、すぐに菜摘が或斗の前に立ち、手で或斗を制した。
「へぇ、双子なん? あいらしかねー」
「……何の用ですか」
菜摘が、キッとアサヒを睨む。
アサヒの特徴は菜摘に伝えてあった。赤い髪なんて珍しいし、或斗のビビりようをみてすぐに『この人がアサヒだ』と、菜摘は理解したようだ。
「いやー、或斗クンに『待て』って言うたとに、居らんくなっとーけん。どげんしたかて思って」
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