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「ほぉー、オレのグレアに反応せんなんて、お兄ちゃんの方はSubやなかね?」
或斗がパニックを引き起こしているのをみて、菜摘もまた、不安を掻き立てられた。こんな発作が出たことはない。どうしたらいいのか対処法が浮かばなくて、ただその身体を抱きしめる。
「あっ、あるとにっ、なにをしたんですかっ?!」
「なにって、ただグレア出しただけばい。たぶん、バッドトリップしとるんやろね」
「バッド…トリップ……? や、やめて、近づかないで!!!」
じり、と一歩前に出てきたアサヒを、菜摘はギッと睨みつけ叫んだ。
大切な弟を守るために必死で、睨みつけると同時に興奮して涙が零れる。
すると、アサヒの足がピタリと止まった。
菜摘と視線を合わせ、それからゆっくりと口元を吊り上げた。
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