バッドトリップ

7/11

1172人が本棚に入れています
本棚に追加
/166ページ
「ほぉー、オレのグレアに反応せんなんて、お兄ちゃんの方はSubやなかね?」  或斗がパニックを引き起こしているのをみて、菜摘もまた、不安を掻き立てられた。こんな発作が出たことはない。どうしたらいいのか対処法が浮かばなくて、ただその身体を抱きしめる。 「あっ、あるとにっ、なにをしたんですかっ?!」 「なにって、ただグレア出しただけばい。たぶん、バッドトリップしとるんやろね」 「バッド…トリップ……? や、やめて、近づかないで!!!」  じり、と一歩前に出てきたアサヒを、菜摘はギッと睨みつけ叫んだ。  大切な弟を守るために必死で、睨みつけると同時に興奮して涙が零れる。  すると、アサヒの足がピタリと止まった。  菜摘と視線を合わせ、それからゆっくりと口元を吊り上げた。
/166ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1172人が本棚に入れています
本棚に追加