1174人が本棚に入れています
本棚に追加
少年を囲む5,6人の男たちは、髪の毛はそれぞれ派手な色をしていたり、目元や舌にピアスがついている。
……どうやら近隣の高校生のようだった。
その中でも、一番奥で廃材に腰掛ける、リーダー格の男がいた。リーダーらしいのはその雰囲気だけで、ガタイがいいわけではない。
キツネ目のキツイ顔をした男で、ストレートで明るい赤髪をちょっと結っており、耳の軟骨に細めのリングピアスが3つ付いていた。彼は足を組みなおしながら少年を見下ろす。
「へー、あいらしかね。名前はなんて言うと?」
聞きなれない地方の方言で、なにを言われたのか分からなかった。
質問には答えず、ただその目を睨みつけていると……先程少年を捕まえた男が「アサヒさん」とリーダーを呼び、小さな手帳をひょいっと投げ渡した。
「院陵学園中等部、1年、三鳥或斗くん」
それは、生徒手帳だった。
名前を呼ばれた少年:或斗は、びくりと肩を震わせて、大きな目で相手を睨む。
アサヒ、と呼ばれたリーダーは、くくっと喉奥で嘲笑しながら生徒手帳を読み上げた。
最初のコメントを投稿しよう!