くらっしゅ ちぇりー

コマンド講座

「今日は、もうちょっと大人のコマンド教えちゃるばい」

　そう言って朝比は場所を移動しようと提案してきた。
　いつもの溜まり場には仲間がやってくるのでプレイに集中できないからと言われ、近くのカラオケ店へと向かった。

＊

　廊下を進んで突き当りの、窓のない個室に入ると、大きなテレビ画面がアーティストの宣伝をしていた。あまりこういう場所へ来たことのない或斗は、純粋にカラオケを楽しんでみたい気持ちに駆られる。

　しかし、後ろから朝比に抱きしめられて、そんな気持ちは一気に吹き飛んだ。ふわりと背中から温もりが或斗を包み、朝比の唇が耳朶をくすぐる。

「或斗、プレイ終わったら御褒美ばあげるけん……今日も頑張れるね？」

　御褒美、という言葉だけで或斗の身体の奥がゾクゾクと悦んでいく。
　「うん……」と小さく頷いて、これから教え込まれるコマンドに期待し、胸を膨らませた。