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朝比は室内の照明を限界まで暗くした。
ドアは一部がガラスだったが、曇りガラスのタイプになっているので、室内が暗ければこちらの様子は外からは見えない。
ソファーに並んで座って、朝比は或斗をぐいっと引き寄せた。
そして、緊張して少し固くなっている或斗の唇に人差し指をちょん、と当てた。
「或斗、Lick」
「り……りっく?」
「舐めろって意味ばい。しきる?」
「舐めるの……? で、できるっ……」
或斗は舌を出して、朝比の人差し指をチロリと舐めた。
舐めながら、ふと、朝比の言葉を自然と理解している自分に驚いた。
初めて朝比の言葉を聞いた時は、何を言われているのか全然わからなかったけれど、ニュアンスでなんとなく察しているような状態だった。
どうやらこれは方言らしく、「しきる?」とは「できる?」ということのようで、それに対し自然と返事ができたことが嬉しかった。
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