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「お仕置きしとぉにそんな蕩けた顔して、悪か子やね」
朝比の手のひらが、或斗の前髪を掻き上げた。
そして「お仕置きにならんばい」とため息交じりに吐きながら、その髪を……グシャ、と鷲掴みにし、その口を引き離す。
「ッ!!!」
どろっと唾液がそこから垂れて、ソファーを汚した。
「これじゃあ、御褒美はおあずけやなあ」
朝比の冷たい言葉と視線に、或斗は絶望にも似た眼差しで朝比を見あげ、小さく首を振った。
どうして?
こんなに頑張っているのに……。
もう、お仕置きは嫌だ。
コマンドにもちゃんと従ってる。
はやく御褒美が欲しい。
「お仕置きによく耐えたね」と褒めて甘やかされたい……。
そろそろ限界だ、ということを或斗は目で訴えてみる。
すると「なん?」と短くこちらの要望を訊ねてくれた。
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