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そのあとも、しばらくお仕置きが続いて、或斗の尻は真っ赤に腫れあがった。『Shush.』のコマンドによって声を出すことも許されなかった或斗は、それを耐え続けていたが……
突然『ぷつん』と糸が切れた人形のように急に崩れ落ち、或斗への仕置きは中止された。
苦しくなる胸、乱れた呼吸、ぐるぐると歪む視界、ぞわぞわと脳内を駆け回る不安、これらの症状には覚えがある。
……人生2度目の、バッドトリップに陥ったのだ。
ひゅーひゅーと胸で息をして、頭を抱えて丸くなる或斗を、朝比は「あーあ」とさして慌てる様子もなく腕の中に抱き、声をかけ始めた。
「よしよし」と背をさすり、或斗がバッドトリップからゆっくりと戻れるようにアシストする。
「はーっ……はーっ……、みつ、や、さん……くるし、い……」
助けを求めて朝比の袖を握りしめた或斗の、涙と鼻水でぐずぐずになった顔を、朝比がカラオケ店のおしぼりで拭いてくれた。
「ゆっくり呼吸しなや」と言って、しばらくの間、背をトントンと叩いて宥めてくれる。
それから数分後、ようやく落ち着きを取り戻すと、暖かい手が或斗の頭を優しく撫でて、前髪を掻き上げた額に、ちゅっ、と唇が落ちてきた。
「っ、み、つや、さん……!?」
「よぉ耐えたね、GoodBoy,或斗。お仕置きはこれくらいにしよか」
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