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「大正解~」
まるでクイズに正解した子供のように笑ったアサヒの言葉で、或斗は我に返った。
正座を外側に崩したような姿勢で、床にペタンと座っている自分。それはアサヒの命令によるものであると自覚し、或斗は混乱を極める。
「おお~~、すげえ!」
「ひゃははっ、やべーっスねアサヒさん! まじでオスワリしやがった!」
やいのやいのと、男達は或斗を見ながら、その行動を嘲笑った。
痛みで力の入らない身体が、自分の意志に反して、動く。こんなことは初めてで、でも不思議と嫌な気はしない。
顔が熱い、身体が熱い。「はあっ…はあっ……」と熱を吐き出しながら、潤んだ瞳でアサヒを見た。
薄茶色の細目もこちらを見ていて、たったそれだけの事が『アサヒが自分を見てくれている』という喜びに変換され、全身をゾクゾクと駆け巡っていく。
「あっ……なに、これっ……」
「ふふ、やっぱりSubやったね」
やっぱり、というアサヒのセリフは、つまりある程度の見当が付いていたということだ。
信じたくなかった。受け入れたくなかった。Normalでありたかった。
ただ、恐怖心に負けてアサヒの言うことを聞いたのだ、と。そう思いたかったのに。
次々に突き付けられる事実を認めるしかなくなって、或斗はボロリと大粒の涙を落して、それからぎゅっと目を閉じた。
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