微S執事と僕の日々3

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 同情。  これが、同情というものか。  今までこの傷を見たものは、この傷に触れた者は、みな自分を持ち上げ誉めそやしたものだ。  男も女も、白い指先でその痕をなぞり、カッコいい、などと悠然と笑ったものだ。  その傷を受けた時の痛みなど、考える者はいなかった。  今、初めて傷の痛みを共有しようという人が現れた。 「ええ、痛うございました。今でも時折、疼きます」  そして初めて、暁斗は他人に弱音を吐いた。
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