名前をつけて

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霧が晴れて、娘と霧に驚いた少女が目を開けた時、そこにドラゴンは居なかった。 白銀色の鱗と、澄んだ水色の瞳のドラゴンは居なくなっていた。 代わりに、先程までドラゴンが居た場所には、一人の青年が、一糸纏わぬ姿で、不思議そうに立っていた。 娘は腰より長い白色の髪と、身体中に点々と広がる白銀色の鱗、そして澄んだ水色の瞳を見た時に、その青年が先程までのドラゴンだと気づいたのだった。 「どらごんしゃん!」 娘の腕の中から飛び出した少女が、嬉しそうに青年に抱きついたのだった。 「君は、いや、それよりも、私は人間に戻れたのか? だが、以前とは違うような……」 青年は少女を抱きとめながら、不思議そうに自分の身体や髪を見ていた。 「良かったです。人間に戻れたんですね……」 「ああ、これも貴方のお陰だ。感謝する」 先程までのドラゴンと同じ声で、青年は感謝を述べた。しかし、娘はしきりに首を振ったのだった。 「いいえ、貴方が自分を人間だと肯定したからです。私は何もしていません」 「いや。謙遜をしないでくれ。貴方が居なければ、私は人間には戻れなかった!」 そうして、青年は娘に抱きついたのだった。 「ありがとう。貴方には感謝してもし尽くせない。この恩は必ず返そう」 「そ、それはいいので、早く離れてくれませんか……。そして、せめて大事なところは隠して下さい!」 娘は来ていた上着を脱ぐと、一糸纏わぬ青年に投げつけたのだった。
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