33人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
私と同じ異世界からやって来たのは、十八、九歳くらいの女子大生でした。
彼女はこの世界に召喚された時から、類稀なる魔力と能力を持っていました。
そうして、その国の危機を救ってしまったのです。
彼女を祝福するパレードの最中、私は自分が惨めでなりませんでした。
私は何も役に立たなかった。
出来損ないだった。
彼女と比較されて、無能だと言われている様でした。
この時は、毎日がとても辛くて、そこにいるのも、生きていることさえ辛かったです。
国を救った彼女は、王様から第一皇子との結婚を勧められていました。
その一方で、私には王様の代理でやってきた魔術師から、ある取り引きを持ちかけられました。
「救世主でも、何でもない貴方がこの国に居ても、これ以上、役に立つ事はないだろう。それどころか、異世界から来た人間が二人居てもややこしいだけだ」
そうして、魔術師はこう告げたのです。
「この国を出て行って欲しいと」
最初のコメントを投稿しよう!