娘の話

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そうして、私は多額のお金とーーといっても、私にはこの世界の物価や貨幣価値がわかりません。生活するのに必要な品々をもらって、国を出ました。 国境付近までは、国から派遣された兵士達が付き添ってくれました。 それからは、一人で旅をしました。 私は安心して暮らせる場所を求めて、旅をしました。 正直に言って、 女の一人旅はとても怖かったです。 ここは、私が住んでいた世界ーー国とは違って、魔物や野盗が当たり前のように存在していたので。 私は早く安心して暮らせる場所が欲しかったです。 ーー出来れば、異世界から来た人間や、救世主のなり損ないと言われない。安寧の地を。 ところが、私はこの国の人達と違うことに気づきました。 生活水準や識字率ではありません。 見た目から違っていました。 この世界には、黒髪と黒目の人種はいなかったのです。 誰もが明るい髪色と瞳の色をしていました。私がその中に入ると、悪目立ちをしてしまいました。 私はただ穏やかに暮らしたいだけです。 なのに……時には、見世物のようにされた事もあります。 そうして、いくつもの国を旅して、私はこの国に辿り着きました。 この国と周辺の諸外国に住んでいる人達は、黒髪に近い、藍色や紺色系の髪と瞳を持った人ばかりです。 私はその中でも、とりわけそういった人達が多い地域で、私を珍しがらない村の外れに住むことにしました。 今、住んでいる家は、元々は年老いた魔女一族が住んでいたそうです。 今は魔女が亡くなって、空き家になっているとの事で、私は格安でーーといっても、私にはこの国の貨幣価値がわからないので、おそらくですが。家を譲って頂きました。 今は、村の手仕事ーー簡単な畑仕事や、識字率の低い村なので、代筆や子供達への教育をして、日々の生活に必要なものを、必要な分だけ分けてもらって生活しています。 貴方に渡した洋服も、その一つです。 別の品物を後払いで貰う予定でしたが、事情を説明して、男性用の衣服を分けて貰いました。 そうして、村外れでの生活と手仕事に慣れた頃でした。 私は、私が持っている能力に気づきました。
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