私の名前は

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「今度こそ、幸せになって欲しいからな。今の話を聞いて、そう思った」 クリスの言葉に、娘はーーアメリアは、こそばゆい気持ちになった。 こんな気持ちになったのは、この世界に来てから始めてだった。 「私も、アメリアがいいと思います。素敵な名前をつけてもらえて……嬉しいです」 照れ臭い気持ちになったアメリアは、知らずクリスの髪を強く拭いていたようだった。 クリスから「これ以上、髪を拭いたら、髪が痛む」と言われて、タオルを回収されたのだった。 またクリスの隣に戻ったアメリアは、クリスからコハクを受け取る。 すっかり熟睡しているコハクは、静かな寝息を立てて眠り続けていた。 「あの。もし、クリスさんが良ければなんですが!」 アメリアはコハクを見て、思いついた事を話した。 「私はクリスさんのお願い通り、コハクちゃんと暮らします。コハクちゃんの家族になります! そして、クリスさんとも家族になります! それで、あの……」 アメリアは言いづらそうに、言葉を選びながら続けた。 「私がコハクちゃんのお母さんになります。なので、クリスさんはコハクちゃんのお父さんになってくれませんか?」
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