水晶のようなドラゴン

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水晶のようなドラゴン

少女に案内された娘はーー少女の体調も考慮して、途中で休憩を挟んだり、娘が抱え上げたりした。家からかなり離れたところに、大きな木と小さな湖があった。 その近くには大きな洞窟があり、少女は迷う事無く、その洞窟へと入って行った。 娘も洞窟に入ると、その洞窟はあまり深く無く、すぐに奥へと辿り着いた。 その奥には、洞窟よりもやや小さい、それでもひと山ありそうなくらいの大きさのドラゴンが寝ていたのだった。 少女はテクテクと歩いて行くと、「どらごんしゃ〜ん!」とドラゴンに向かって行ったのだった。 娘は少女がドラゴンに喰われると思い、慌てて少女の後を追いかけた。少女がドラゴンの目の前まで来たところで、娘はようやく少女に追いついた。 その時、今まで寝ていたドラゴンが、すっと目を開けて、起き上がったのだった。 娘は少女を抱き上げると、一、二歩後ろに下がった。 しかし、よく後ろを確認しないで後ろ向きに歩いていた娘は、石につまづいて、尻餅をついたのだった。 「いたっ!」 その声に反応したドラゴンは、その目を娘と娘が抱える少女へと向けた。 食べられる、と娘が身構えた時だった。ドラゴンは首を伸ばすと、娘と少女へと顔を近づけたのだった。 「大丈夫か?」 眦に涙を浮かべた娘が呆気に取られている中、ドラゴンは心配そうに娘を見つめてきた。 「へぇ?」 間の抜けた声しか出せない娘に代わって、娘の膝の上に乗っていた少女は、嬉しそうにドラゴンの顔をペチペチと叩きながら返したのだった。 「だいじょぶ、だよ!」 ドラゴンに顔を覗かれながら、娘は何度も頻りに頷いたのだった。 「そうか」 少女に顔を叩かれながらも、ドラゴンは安心したように目を細めた。 その瞳は、氷が張った澄んだ冬の湖の様な水色の瞳であったのだった。 娘がドラゴンの瞳に見惚れながら、少女を抱えて立ち上がると、丁度、傾いた陽射しが洞窟の入り口から入って来たところであった。 オレンジ色の光に照らされたドラゴンの姿は、夕陽の中で輝く水晶の様に綺麗であった。
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