彼女が俺のプロポーズを100回断った理由

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 決まった。完璧だ。ハワイの夕焼けは最強の武器。シチュエーションランキングトップ5だ。 「ゴメンなさい。もちろん好きよ? でも結婚は無理」 「ダメか」 「無理よ」  夕陽は完全に海へと沈み、夜の帳が下がっていく。いいなぁ太陽は、このタイミングで逃げられてさ。  こうして俺は、またプロポーズに失敗した。  だが後悔はない。ここに来てよかったのだ。  太陽が沈みきり、空が黄金から紫色へ染まっていく。  こう言うの、なんて言ったかなぁ。 「マジックアワーね」 「え?」 「マジックアワー、魔法の時間」  先程とは違い、紫色の空を背景にして、彼女がシルエットになっている。 「凄く綺麗。また来ましょ? 」  そういった彼女は幻想的でとても美しく、なんというかきっとまた、俺は彼女の為ならばなんでも出来ると、改めてそう思ったのだ。 「ああ、また来よう」
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