彼女が俺のプロポーズを100回断った理由

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  子供の頃、双子の妹と俺は本当に仲が良かったんだ。  小学四年生のあの夏。  今も神社の境内で遊んだ事をよく覚えている。 「ねぇお兄ちゃん。私、プロポーズされたいの」 「プロポーズ? 」 「そう。プロポーズ。100回! 素敵な場所で100回! 」 「何で100回なんだよ。別のヤツなら時間かかるし、同じ奴ならめっちゃ振られてるじゃないか。普通断ったら終わりだし、可哀想だろ」 「でも、100回がいいの、何回も素敵なプロポーズしてくれる人が良い」 「そんな奴いるわけねぇよ」 「いるよ。ここの神社、凄く願いが叶うって言うし。見つかるよ」 「見つかるかなぁ、ま、見つかんなかったら俺がやってやるよ」 「お兄ちゃんじゃ意味無いじゃん!無理だよ無理」 「確かに」  それは子供によくある現実味のない会話。  二人で笑いあう、いつもの会話。  その一週間後、妹は車に轢かれてこの世を去った。
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