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彼女が俺のプロポーズを100回断った理由
柔らかなオレンジ色の光が、ゆっくりと太平洋に沈んでいく。俺は今、夕焼けに染まる浜辺を彼女と二人で歩いている。
彼女の少し茶色みがかった髪は、まるで燃えているかのようだ。ああ、素晴らしい。なんてロマンチックな景色なんだ。
長く夜景を観るよりも、一瞬で終わってしまう夕焼け空の方が好きだ。きっと、この景色を一生忘れることは無いだろう。そして、違う意味でも忘れられない日にしてみせる。
「凪、綺麗だね」
彼女は海にゆっくりと沈んで行く太陽を見つめている。
彼女の好みは把握している。
長年、一緒にいたのだから。
「君の名前の通り、ここの波はとても穏やかだ……。俺は、こんな穏やかな人生を送りたいんだ。君となら、そう歩んでいけると思うんだ」
沈む夕陽を背に、懐から箱を取り出して彼女の方へと跪く。
「凪。俺と結婚してくれないか」
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