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「ねえ、秀貴。携帯の電話番号教えて」
周りには聞こえない、俺にだけ聞こえる声量。
まだクラスメイトの残る教室で、大々的に電話番号を聞くのは恥ずかしかったのだろう。茉莉はその長い睫毛を揺らして、少し頬を染めていた。
その表情を見て、俺は顔が熱くなる。
「お、おう。どうした?」
なぜ聞き返すのか。自分でもわからない。
「夏休み、宿題がいっぱいあるじゃない」
確かにかなりの量の宿題だった。
「あれ、一人でやるの無理だからさ、二学期が始まる前に写させてもらおうと思って。そのためには連絡先がわからないと、ね」
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