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それから後の2日間も、奏はあの質問に答えを書けなかった。気づいてから分かったが、あのページには癖が付いている。もしかしたら返事があるかどうか毎回伊月が確認しているのかもしれない。そう思うだけで胸が苦しく締め付けられるようだった。
今日がノートを貸す最後の日。来週頭に伊月は登校する。
もうすぐ6時間目が終わる。あのノートを使う、国語の時間だった。
書くべきか、まだ気づいてないフリをするか。
書くとしたら何て?
自分の思いを打ち明けた時に、自分たちの関係がどう変わるのか。未知のことが怖かった。
周りに知られたらどうしよう。親に知れたら。付き合おうって言われたら。そもそもそんなつもりじゃなかったとしたら。
頭の中に渦が巻く。
時は止まることなく、授業終了のチャイムが鳴った。途端に安堵したクラスメートたちの息遣い。気怠い空気の中、奏はシャーペンを持ってあのページを開いた。
勇気を出して。
泣きそうになりながら、震える手で質問の下に書いた。
ーー伊月陽くん。
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