本当のこと

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どうしていいのか、奏には全く分からなかった。励ましの言葉も思いつかない。ノートを人に見られないように閉じ、呆然と空を見つめる。 「医者の言うことを聞いて焦らず」? 「頑張ってリハビリして間に合わせよう」? 「きっと犯人はチームメイトじゃないよ」? どの言葉も違う気がする。第一、何も分かっていない自分がしたり顔でアドバイスするのも滑稽だった。今まで明るい彼がそんな悩みを持っていたことさえ知らなかったのに。 昼休み中考えたけれど、答えは出なかった。 自分の問題解決能力の低さに歯がゆくて涙が出そうになった。内緒話なので、先生に相談するわけにもいかない。 幸い6時間目が急遽自習になり、奏は頭を悩ませた末、ヘタクソなイラストを描いた。 シュートを放つ伊月の絵。 そして後ろから「ガンバレ!」と声をかける自分の絵。 あまりに下手な絵だったので、イラストの下にそれぞれの名前を書いた。
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