勇気

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勇気

その日は眠れなかった。久し振りに明日は学校に行きたくないと思った。伊月の反応が怖かったのだ。 がっかりされたらどうしようと思うだけで、枕に涙が滲んだ。 翌日、いつも通りノートが返される。4冊のノートが5キロのダンベルのように重く感じた。のろのろと席に着き、ノートの束を机の上に乗せて対峙する。 遅かれ早かれ、どうせ見るのだ。 奏は覚悟を決め、例の手紙が書かれたノートを開いた。 「……え?」 奏が絵を描いた例の1ページは破り取られている。 慌てて他のノートを見ると、何事もなかったかのように落書きされていた。 「なんだあ……」 はあ、と落胆したような安堵したかのような息を吐き、何気なくパラパラとページをめくる。 すると、そこにはある一言が書かれていた。 それを見た奏は、目にも留まらぬ速さでパタンとノートを閉じた。
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