朝の哀しみ

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 どうしたらいいか分からない。  だけど・・・  目元が・・・  かすかに濡れてきた・・・  遠野さん。なにか怒ってるみたい・・・  どうして?  歩きながら急いで考える。  フツーに朝の挨拶・・・  祖母が出張って言ったこと・・・  今日って遠野さん。ずいぶんゆっくり歩いてるってこと・・・    ふと思いつく。  遠野さんて家にひとり・・・  僕だってひとりなんだ・・・    考えてる間に・・・  遠野さんと・・・  少し距離開いた・・・  あわてて追いつく・・・  「遠野さん。  今晩、夕飯食べに来ませんか?  卵焼きとお味噌汁くらいですけど・・・」  遠野さん、立ち止まった。  僕の方を見た。  いつものりりしい表情。  「会社の人と一緒に夕飯に行くから・・・これでもわたし、主任だから・・・  いろいろ誘いはあるんだ」  あとは黙ったまま。  僕の横、サッサと通り過ぎた。  ちがってた・・・  僕が夕飯を誘うのを待って、ゆっくり歩いてるって思ったけど・・・  会社に向う遠野さんの後ろ姿・・・  「行ってらっしゃい」  返事ってなかった。  なんだか悲しくて・・・  そっとをぬぐって学校に行った・・・  
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