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胸騒ぎの放課後
終礼が終わり、教室は人まばら。
鞄を手にとる。図書室で勉強していくつもり。机を離れたとき・・・
教室の戸口に見覚えのある人がいた。
ショートカットにパチッとした目が印象的。制服のスカートから、白くて長い脚が伸びている。
「よかった。まだいた」
僕の方に近づいてくる。
クラスメイトの男子が、びっくりした顔で僕を見ている。
陸上部のエースの高木妃(たかぎきさき)さん。スポーツ科のクラス。
「今日、クラブ休みなんだ。図書室行くなら、勉強つきあってくれる」
いきなり用件言われる。幼稚園からのつきあいだから慣れてる。
「いいよ」
熱い視線を背中に感じる。ふたりで並んで教室を出た。
「ごめん。無視してたワケじゃないんだ。
朝練もあるし、放課後もずっとクラブだったから・・・
洋君と連絡とろうって思ったこともあったんだよ」
廊下を歩きながら言う。
僕、なんて言ったらいいか分からない。
黙って下向いた。
「ウソじゃない」
高木さん、大声を出した。
「幼稚園からよく一緒に遊んだし、勉強だって教えてもらった」
「高木さん。声大きいよ!」
あわてて注意!
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