胸騒ぎの放課後

1/3
14人が本棚に入れています
本棚に追加
/135ページ

胸騒ぎの放課後

 終礼が終わり、教室は人まばら。  鞄を手にとる。図書室で勉強していくつもり。机を離れたとき・・・  教室の戸口に見覚えのある人がいた。  ショートカットにパチッとした目が印象的。制服のスカートから、白くて長い脚が伸びている。  「よかった。まだいた」  僕の方に近づいてくる。  クラスメイトの男子が、びっくりした顔で僕を見ている。  陸上部のエースの高木妃(たかぎきさき)さん。スポーツ科のクラス。  「今日、クラブ休みなんだ。図書室行くなら、勉強つきあってくれる」    いきなり用件言われる。幼稚園からのつきあいだから慣れてる。  「いいよ」  熱い視線を背中に感じる。ふたりで並んで教室を出た。  「ごめん。無視してたワケじゃないんだ。  朝練もあるし、放課後もずっとクラブだったから・・・  洋君と連絡とろうって思ったこともあったんだよ」  廊下を歩きながら言う。  僕、なんて言ったらいいか分からない。  黙って下向いた。  「ウソじゃない」  高木さん、大声を出した。  「幼稚園からよく一緒に遊んだし、勉強だって教えてもらった」  「高木さん。声大きいよ!」  あわてて注意!     
/135ページ

最初のコメントを投稿しよう!