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「でも、スレイトの実験をする前に、まずはそれを行うものの気持ちを高めないとね。」
そう言いながら、チャートは左手を高く上げる。
すると、ガラス窓の向こう側、少し長めの茶色い髪を後ろで一つに結わえた華奢な男の子が、逃げ腰気味に目の前に並んだスイッチへと手を伸ばしていた。
「つっ!や、やめろっ!」
ボタンが押されたと同時にスレイトが座る椅子に電気が流れる。
身体の中を突き刺すように走る電流の痛み。
それを回避するかのように攀じられる肢体。
その一連の流れはまるで犯罪を犯した者に課せられる拷問。
「うふふっ、気分はどうだい?スレイト。」
「そ、そんなの痛いに決まっているだろっ!」
「でも、その苦痛に歪む顔が、僕を楽しませてくれるんだよねぇ。」
痛みに耐えながら睨み上げるスレイトの視線をさもおいしい表情だと言わんばかりにチャートは嘲笑を浮かべる。
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