好きだから。

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面倒臭くて、回りくどくて、自分勝手で、それでいて傷付く事が分かっている。 私は確信犯だ。 だからせめて、笑顔を絶やさないように、自分のやっている最低行為を何でもないようなものとして見つめる。 「好き」や「愛してる」の証明として、紫の顔がどんな風に歪んで、私を優しく抱き締めてくれるあの身体が、どんな風に醜く動くのか。 それが酷ければ酷いほど、紫が私を想っているという事なんだ。 それは、彼も同じかもしれないけど。 私の特別は紫だけだから、彼への影響は、「ついで」として見てみよう。 彼との関係が紫に分かった時、紫はどこに行ってしまうだろう。 そこからの私は、また別の誰かと、最低行為を繰り返すのだろう。 頭の中が汚い文字と感覚で埋め尽くされて、酸素の居場所を奪っていく。 ジャッ、という鈍い音が何回か耳に届いて、身体のどこかに、赤い線が滲んで浮かび上がってくる。 そうして私はまた、私を取り戻せる。 でも何故か、その時、私は涙を流している。 ベッドの横の鏡に映る不細工な自分の姿を睨みつけながら、飢えを少しでも満たそうと、紫の名前を呟くのだ。
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