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黒髪の女はアマンダ、と名乗った
歳の頃は二十の坂はこえているだろう
俺がもうじき二十二だから同じくらいか
誘われるまま飲み屋に入り、一杯、また一杯と盃をあける
アマンダは自分の事を「客もロクに引けない娼妓」だと言ったがそれは嘘だろう
これだけの色気を持つ女が娼婦なら、一月先の予定まで埋まっていそうだ
「あんたが街角に立っていたら、俺ならわざとでも落とし物をするな。拾ってもらいたくて」
「あら、あたしったらまんまとそれを拾っちゃったってわけね?」
アマンダは明るく笑い、また火酒のお代わりを頼んだ
本当はアマンダが娼妓ではないことには気付いていた
娼妓なら必ず目に付くところに下げている銀の花球を持っていなかったし、白粉の匂いもしない
でも、俺は気にしなかった
アマンダと飲む酒はなかなか美味かったし
気っ風のいい女は嫌いじゃない
ただ、
アマンダが大酒飲みなのに気付いた時には
もう遅かった
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