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湖のほとりに1人、少女が立っている。
水面に反射する月光により照らされたその表情はあまりにも寂しげで、普段なら美しいこの風景が酷く悲しい空気を醸し出している。
「もうすぐ闇が世界を飲み込んでいく…。
もう誰も失いたくないのに、
時間は待ってくれない、神様はなんでこんなにも無
慈悲なんだろうね…。」
少女がそんな言葉を発した直後、今まで静かだった木々達がざわめいた。まるで意思があるように。
「守らなきゃ。何をしてでも。この大切な大切な世
界を守るためならなんだってしてやる。
力を貸してね、みんな…。」
その時、彼女の周りにいくつかの影が現れ、少女の祈りに応えるように、側へと寄り添っていた。
彼女がその場を離れるように歩き出した時には、
丸く大きな月を黒く怪しげな雲が覆い被さろうとしていた、なにか不安を感じさせるような天気へと変化していた。
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