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封筒で簡易包装されたそれを開けると、中から小さな電子機器が出てくる。サイズ感といい使い方といい、音楽プレーヤーのようだ。
使い方は実に簡単で、この「アニマリンガル」の再生ボタンを押して放置するだけ。
深層意識にのみ働く音波なので、実際に音は聞こえない。だがかけっぱなしにしておくことで自然に効果が表れてくるそうだ。
ぷち、と小さな三角マークのボタンを押す。
スピーカーらしき穴に耳を寄せてみるも、確かに何の音もしなかった。
まあ試すだけ試してみよう。そんな気持ちでアニマリンガルを放置し、少しばかり仕事をした後にはすっかり忘れて就寝した。
そして今に至る。
一晩アニマリンガルを置いたソファの上で眠っていたマナティが、半分溶けていたのは恐らくこのせいだ。だってアニマリンガルを切ると徐々に元に戻っていく。全く信じ難いことだけれど、目で見てしまった以上仕方の無いことだ。
(しほ、にぼし)
「あ、うん。にぼしね」
はっと我に返り、流し台の収納からにぼしの瓶を取り出す。蓋を開けると、匂いを嗅ぎつけてマナティがすっ飛んできた。
「はい、どーぞ」
嬉しそうににぼしを舐めるマナティ。全く普段通りだが、これは病院に連れていった方がいいのだろうか?
こんな、マナティの体に影響を及ぼすものだとは思っていなかった。
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